香りや味にクセがあり、苦手な方も多い「セロリ」。
しかし、苦手だからと言って食べずにいるのは非常にもったいないくらい、セロリは栄養が豊富でさまざまな効果効能が期待できる野菜です。
スーパーなどでセロリは茎から葉がある状態で販売されており、基本的に茎の部分を食べるのが一般的ですが、セロリの葉の部分も食べれるのでしょうか。
また、サラダ以外にも炒め物など火にかけて料理をすることも多いと思いますが、加熱調理をしても栄養は損なわれずにきちんと摂取できるのでしょうか。
栄養が豊富だからといって、食べ過ぎると影響があるのかも気になりますよね。食べ過ぎるとどうなるのかについても解説したいと思います。
そこで今回は、『セロリの栄養と効果効能』、『セロリの葉は食べれるのか』、『加熱調理による栄養素への影響や食べ過ぎても大丈夫なのか』まで詳しくご紹介します。
セロリとは?
セロリとはセリ科のオランダミツバ属の植物で、セロリは「セルリー」や「セロリー」とも呼ばれ、和名は「オランダ三つ葉」といいます。
原産はヨーロッパや中近東の冷涼な高地の湿原とされ、古代ローマや古代ギリシャの時代には食用としてではなく、魔除けや祭儀などに使われ、整腸剤、強壮剤としても利用されてきました。
栽培は16〜17世紀頃から始まり、イタリアやフランスで使われるようになってから食用として定着したといわれています。
日本には江戸時代に加藤清正により持ち込まれ、「清正人参(きよまさにんじん)」などと呼ばれましたが、独特の匂いが受け入れられずあまり普及しなかったようです。
本格的に日本で広まったのは、戦後に欧米の食文化の影響が始まり出した頃からです。しかし、現在出回っているものは、香りもクセも改良されて、元々のセロリよりも匂いや香りは比較的弱まっているようです。
国内での主な生産地は、長野県と静岡県、福岡県、愛知県となっています。比較的出荷時期が長く、1年中市場では出回っていますが、主に5月から11月頃にかけては、静岡県産の「冬春セロリ」が出回り、それ以外の時期は、長野県産の「夏秋セロリ」が出回っています。
セロリの食べ方としては、野菜スティックやサラダ、スープ、お肉などの匂い消しとしてよく使われています。
後ほど詳しくご説明していきますが、セロリの栄養価はビタミンB群をはじめ、食物繊維、ビタミンCなども豊富です。カリウムは、多いといわれるきゅうりやスイカよりも倍以上に含まれているので、むくみや高血圧防止にはうってつけの食材です。
セロリの特徴である香りには精神を落ち着かせて安定させる、アピインやセネリンが含まれ、頭痛などにも効果的に作用することが認められています。
セロリの栄養と効果効能
セロリのカロリーは100gあたり15kcal、糖質は100gあたり2.1gと低いです。ダイエット時にはカロリーや糖質をあまり気にせず食べることができるので、栄養バランスの調整に最適です。
セロリに含まれている主な栄養素は次の通りです。
- ビタミンC、ビタミンE、βカロテン
- カリウム
- 食物繊維
- アピイン、アビオイルなど特有の香り成分
- ビタミンU(キャベジン)
これらの栄養素により、以下のような効果効能が期待されています。
- むくみ解消効果
- ダイエット効果
- 高血圧の予防
- 精神安定、リラックス効果
- 便秘解消
- 胃もたれ・胃潰瘍の予防
- 美肌効果
- アンチエイジング効果
それぞれの効果効能について、詳しくみてみましょう。
【ダイエット・むくみ解消・高血圧の予防】
セロリにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムはセロリ100gあたり410mg含まれ、カリウムが多いイメージのキュウリやスイカの倍以上もあります。
カリウムには体内の余分な水分や塩分の排出を促してくれる働きがあります。カリウムの排出促進作用により、むくみが改善されてダイエット効果が期待できます。また、むくみの改善だけでなく、高血圧の上昇を抑える効果も期待できます。
逆にカリウムが不足すると塩分の代謝が悪くなり、浸透圧の関係で血管が収縮して血圧が上昇してしまう原因となりますので、健康や美容の維持にも是非摂取しておきたい栄養素です。
【精神安定・リラックス効果】
セロリには、特有の香気成分が豊富に含まれています。セロリの涼やかな香りを嗅ぐとそれだけで頭がスッキリとしてくることがあります。
セロリの香り成分には精神安定やリラックス効果があるのです。その効果は高く、セロリの種から抽出される精油はアロマテラピーでも使用されています。
セロリの約40種類の香り成分のうち、主な香り成分は、アピインやテルペン、アビオイルなどがあります。
アピインはポリフェノールの一種で、精神安定や不眠解消に働きかけます。テルペンにはリラックス効果があるとされています。
セロリの高い香り成分には、リラックス効果などの鎮静作用だけでなく、鎮痛作用も含まれています。頭痛や生理痛などの痛みを和らげる効能があり、二日酔いが原因で起こる頭痛にも効果が期待できます。
【便秘解消・胃もたれや胃潰瘍の予防】
セロリには食物繊維が多く含まれており、便秘解消に効果的です。また、キャベツに多く含まれるビタミンU(キャベジン)も豊富です。キャベジンは胃もたれや整腸に効く市販薬の名前にもなっていますね。
キャベジンには、胃酸の分泌を抑えたり、胃の粘膜を修復するなどといった働きがあります。そのため、胃もたれを予防する効能はもちろん、胃や十二指腸潰瘍の予防も期待できるのです。
【美肌・アンチエイジング効果】
セロリには美肌やアンチエイジングに欠かせない、ビタミンCやビタミンEなどのビタミン群、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンが豊富に含まれています。
ビタミンCとビタミンEを同時に摂取できるので、アンチエイジングに不可欠な抗酸化力も相乗効果でアップします。
また、β-カロテンは必要な分だけ体内でビタミンAに変換されるので、ビタミンC、Eと合わせて美肌作りに重要とされるビタミンACEがまとめ摂取できます。
さらに、美肌作りに関しては、ビタミンCはコラーゲンの生成を促進し、肌に潤いやハリを与える効果が期待できます。また、メラニンの生成を抑える働きもあるので、シミやそばかすを防ぐ効果が期待できます。
セロリの高い香り成分にも、美容に嬉しい効果がたくさんあります。
アビオイルにはメチオニンという成分が含まれていますが、メチオニンには肝機能を高める働きがあります。肝機能が活発に働くようになると、女性ホルモンの分泌が促進され、ハリやツヤのある美肌作りに繋がります。
その他にも微量ですが、妊娠中には特に摂りたい葉酸も摂取することができます。また、ビタミンB1、B2、B16などのビタミンB群もあり、体に必要なビタミンがバランスよく含まれています。
セロリの葉は食べれる?加熱調理や食べ過ぎによる影響
セロリは茎だけでなく、葉っぱももちろん食べられます。しかも実は、茎よりも葉の方が栄養価が高いです。
抗酸化作用のあるβ-カロテンは茎の約2倍。疲労回復効果のあるビタミンB1、さらに、ビタミンB2やビタミンC、ビタミンE、食物繊維も葉の方が多く含まれています。
今までセロリの葉を捨ててしまっていたら、この機会に葉の部分も食べることをおすすめします。
セロリの葉は、生で食べても大丈夫ですので、サラダとして食すこともできますし、スープに入れたりしても美味しくいただけます。
加熱調理による栄養素への影響ですが、セロリに含まれている栄養成分は比較的熱に強く、加熱しても壊れにくい栄養成分が多いと言われています。
しかし、煮るなどの加熱調理をした場合は、一部のビタミンは煮汁に溶け出してしまうので、煮汁も一緒に食べられるスープなどにすると栄養素を余すことなく食べることができるので、おすすめです。
また、セロリに含まれるβカロテンや脂溶性ビタミンのビタミンEは油と一緒に摂取することで吸収力を上げることができます。サラダにオリーブオイルをかけたり、油を使う炒め物もおすすめです。
セロリは加熱することで、匂いや香りも抑えることができますので、あの独特な匂いが苦手な方は、試してみてはいかがでしょうか。
熱に壊れにくい栄養分が多いと説明しましたが、加熱調理をするとビタミンなどの栄養は少なからず損なわれてしまいますので、加熱調理による栄養素への影響が気になる方は、効果的な食べ方として、サラダや浅漬け、ピクルス、マリネ、ミキサーにかけてジュースにするなど加熱調理しない食べ方がおすすめです。
茎の部分は筋がありますので、サラダとしてスティック状で食べる場合は筋を取って食べましょう。
筋の取り方は端から包丁を軽く浅く入れ、そのまま皮をむくようにはがすと簡単に取れます。炒め物や味噌汁に入れてもシャキシャキとした食感があり、美味しく食せます。
セロリを食べ過ぎるとどうなる?
セロリは食べ過ぎた場合、カリウムの過剰摂取の影響で尿管結石が起こりやすいと言われています。
また、セロリは体を冷やしてしまうため、冷えにより胃腸の働きが低下する恐れがあります。
どんなに栄養豊富で健康に良いと言われている食べ物でも食べ過ぎては健康に良いわけがありません。何事もバランスよく食べることが大切です。
セロリの保存方法
そのまま保存すると葉っぱが茎の水分や養分を吸い上げてしまいます。また、葉の部分は傷みやすいので、茎と葉は切り離して保存することをおすすめします。
冷蔵保存の場合は、葉と茎それぞれを新聞紙に包んでからビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。
栄養を減りにくくさせ、長持ちさせるポイントとして、セロリなどの縦長の野菜は育った姿のままの縦置きが良いとされますので、茎や葉は立てて保存するようにしましょう。保存期間1週間ほどです。
冷凍の場合も葉と茎は分けて、調理できる状態に切り分けて保存します。保存期間は約1ヶ月ほどもちます。
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