あんず(杏)は酸味が強くさわやかな味をしていて、お酒やお菓子などさまざまな食べられ方をしています。旬の時期になると果実酒にしたりジャムにするという方も多いのではないでしょうか。
あんずは栄養素が豊富でさまざまな効果がある他、種は漢方や生薬としても使われているほど効能のあるフルーツです。
手軽なジャムの作り方なども紹介されているので、積極的にあんずを取り入れたいといえども、気になるのはやはりカロリーや糖質ですよね。
また、保存期間や保存の仕方、冷凍保存ができるのかなども知っておきたいところです。
そこで今回は『あんずの栄養と効果効能』と『カロリーや糖質』、『あんずジャムの作り方』、『冷凍保存などの保存方法』についてご紹介します。
あんず(アプリコット)とは
あんずとはバラ科アンズ属の植物で、中国の北西部や中央アジアが原産です。英語では「アプリコット」と呼ばれて広く知られており、日本でも青森県や長野県、少量ですが福島県でも生産されています。
見た目はすももとよく似ていますが、すももは実に毛がないのに対して、あんずには実に毛が生えているという違いがあります。
あんずの味は酸味があるので、生食よりもシロップ漬けにしてコンポートにしたり、アプリコットジャムにしてケーキなどお菓子に使われることが多いです。
あんずの種は杏仁(きょうにん)と呼ばれ、咳止めや風邪予防の生薬として使われたり、元は薬膳料理で有名な中国のデザートである杏仁豆腐の独特の味を出すために使われています。
あんずの収穫時期は6月下旬から7月中旬ごろで、この時期からスーパーなどで市販され始めます。毎年この時期になると、梅酒のようにあんずを使って果実酒を漬けるという方も多いのではないでしょうか。
あんずの栄養と効果効能
種が漢方や生薬としても使われているあんずの効果効能はやはり気になりますよね?調べてみると多くの美容健康効果があるということがわかりました。早速あんずの効果をチェックしていきましょう!
【脳卒中や心筋梗塞、動脈硬化の予防】
あんずにはβカロテンが豊富に含まれています。果物の中では赤肉メロンが1位ですが、あんずはそれに次いで2位の含有量を誇っています。
βカロテンは抗酸化作用が非常に強く、活性酸素を除去して血管が老化して硬くなるのを防ぎ、脳卒中や心筋梗塞、動脈硬化の予防に効果が期待できます。
また、あんずには体内の余分なナトリウムを体外に排出するカリウムも豊富に含まれており、むくみの解消や高血圧の予防にも効果的です。
【疲労回復効果】
あんずにはβカロテンの他にもリンゴ酸やクエン酸、ブドウ糖が含まれています。これらの成分は疲労回復に効果的で、特にドライフルーツとなったあんずはカロリーが高いので夏バテの予防に効果があります。
【血行促進、貧血予防効果】
βカロテンの働きに加えて、あんずには鉄も豊富に含まれています。鉄は肺で取り込んだ酸素を全身に運ぶという重要な働きをしています。
また、筋肉中のたんぱく質の構成成分として、血液を筋肉に取り込む働きをします。これにより、血行を促進し、貧血を予防する効果が期待されています。
【アンチエイジング効果】
βカロテンは体内でビタミンAに変換されます。またビタミンEも豊富です。これらの成分は抗酸化作用が高く、美容の面でも注目されており、細胞が酸化するのを防いでアンチエイジング効果が期待できます。
【咳止めやぜんそくの症状緩和】
あんずの種にある杏仁は咳止めやぜんそくの症状緩和に効果があるとされています。あんずの種にあるアミグダリンという成分によるもので、漢方や生薬として古くから用いられてきました。
しかし、アミグダリンには毒性があるため、専門家の指導を受けずに杏仁を食べないようにしてください。
あんずのカロリーと糖質
生のあんずのカロリーは100gあたり36kcalで、1粒66gとすると24kcalです。ドライフルーツの場合は100gあたり288kcalで、1粒8gとすると23kcal程度となります。
糖質の量は、生のあんず100gあたり6.9g、1粒66gとすると4.6gとなります。またドライフルーツの場合の糖質量は100gあたり60.6gで1粒8gとすると約4.8g程度となります。
生の状態であればカロリーや糖質は少ないですが、ドライフルーツになると水分が蒸発して栄養素が凝縮されるのでその分カロリーや糖質も多くなります。
また、加工途中で砂糖などで味付けられているものはさらにカロリー、糖質は多くなります。
皮は剥く?あんずジャムの作り方!冷凍保存はOK?
あんずは傷むのが早いので、食べきれない場合はジャムやコンポートにしてチーズケーキにかけたり、パウンドケーキに練りこむなどしてお菓子に使うのがおすすめです。
あんずジャムのレシピを検索してみると、皮を剥くレシピも皮を剥かないレシピも同じように存在していますよね。
結論から言うとジャムやコンポートにするとき、あんずの皮は剥いても剥かなくてもどちらでもOKなようです。
あんずの皮は柔らかく苦味も少ないので、剥かずにジャムにしてもほとんど違和感がありません。皮を剥くか剥かないかは実の状態やお好みで決めて大丈夫です。
あんずは皮の近くが酸味が一番強いといわれています。そのため、あんずの特徴である酸味を活かしたいのであれば皮を剥かずにジャムにするのがおすすめです。
注意したいのは、あんずは傷みやすいフルーツなので、皮が変色していたり、キズがついているなど皮の状態が悪い場合は、皮を剥いて、中の実の状態を確認するようにしましょう。
また、あんずは皮付きでも、丁寧に水洗いをしてしっかりと加熱すれば表面についている雑菌は死にますが、気になる方は熱湯殺菌すれば問題ありません。
熱湯に30秒ほどくぐらせてザルにあけ、水気を拭いてヘタと種とってからジャムを作ります。
ここでは、家庭でも簡単に作れるあんずジャムのレシピをご紹介します。
【簡単!人気のあんずジャム作り方】
- よく洗って水を切ったあんずの実に切れ目を入れて二つに割り、種とヘタを取り除く
- 鍋にあんずを入れ、あんずの35%の砂糖を全体に振り掛ける
- 3~4時間ほど置き、中火で煮込む
- アクとりをし、とり終わったら弱火でさらに煮込む
- 時々かき混ぜながら2時間ほど煮込む
- 保存瓶を20分ほど煮沸し、水を切っておく
- あんずの実が崩れてとろっとしてきたらできあがり!
瓶に詰めたら一度蓋をして瓶ごと少し沸騰させ、さらに蓋を軽く緩めて加熱することで脱気ができます。脱気をしたらしっかりと蓋を締め直します。
脱気処理すれば、開封しなければ1年ほど保存可能です。
あんずの保存方法
熟したあんずの実は傷むのが早いため、生のものでも干したものでも冷蔵庫に入れて2~3日中に食べるようにしましょう。
食べきれない場合は、冷凍保存したり、ジャムやコンポート、お酒にするなど加工するようにします。
あんずを冷凍保存する場合は、よく洗って、皮を剥いて種を取り除き、8等分にしてクッキングシートを敷いたバットに並べて冷凍します。凍ったらジップロックなどに小分けにして冷凍保存しましょう。
また、ミキサーなどでピューレ状にして保存袋で冷凍する方法もあります。コンポートや料理のソースに使う場合は、使う分だけ解凍すればよいので、使い勝手がよくおすすめです。
ジャムやコンポートに加工する場合は、1~2週間ほどが食べ頃で、瓶やタッパに詰めるだけであれば1ヶ月ほど保存できます。煮沸消毒した瓶で脱気処理を行えば1年ほど保存しておくことができます。
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