「沖縄料理といえば?」と聞かれると、大半の方が「ゴーヤチャンプル」と答えるのではないでしょうか。
今回の記事では、沖縄代表の野菜と言っても過言ではない、「ゴーヤ」についてご紹介します。
苦味があるのが特徴で、あまり好きではないと敬遠している方もいらっしゃるかと思いますが、ゴーヤは栄養豊富でさまざまな体に嬉しい効果効能が期待されています。
夏バテ防止にはもちろんですが、特に妊娠中の方には是非食べて欲しい食材です。
下処理や苦味取りをきちんとすれば、苦味を抑えることができます。簡単な下処理や苦味取りの方法も説明もしていますので、挑戦してみてくださいね。下処理の一つとして、「わたを取る」という工程もありますが、実はわたにも栄養が詰まっているのだとか。
そんな栄養豊富なゴーヤですが、茹でるなどの下処理や加熱調理、冷凍することでの栄養素への影響はあるのでしょうか。せっかく食べるのですから、効率的に無駄なく栄養を摂取したいですよね。
そこで今回は、『妊娠中の方にもおすすめしたいゴーヤの栄養と効果効能』、『意外と知らないわたの栄養』、『茹でるなどの下処理や加熱調理、冷凍での栄養素への影響』と『下処理や苦味取りの仕方』をご紹介します。
目次
ゴーヤとは
改めて説明の必要もないかもしれませんが、ゴーヤとは、ニガウリなどと呼ばれるウリ科の植物で、沖縄の伝統野菜です。
沖縄料理のブームにより知られることとなった栄養豊富な野菜で、全国的に普及したのは意外にも遅く1990年代になってからです。
独特の苦みが特徴ですが、胃液の分泌を促し、食欲増進の効果があり、夏バテ防止にもってこいの食材です。
都会では、つるが長く伸びて茂るので、日よけ代わりにベランダなどで育てる人も増えて人気があります。
ゴーヤの旬は、6月~8月がもっとも美味しい時期です。出荷量では、全国1位は沖縄県で、全体の35%を占めています。続いて宮崎県、鹿児島県となります。1年を通して流通してはいますが、出荷のピークは7~11月頃です。
あまりご存知無い方もいらっしゃるかと思いますが、ゴーヤにはいくつか種類があります。「あばしゴーヤ」は、沖縄産のゴーヤで、太くて丸く、苦みは控えめです。「中長ゴーヤ」は、よくスーパーで売っているゴーヤで、細長く、苦みが強いの特徴です。
希少性のある「白ゴーヤ」は、サラダゴーヤとも呼ばれ、苦みが少なく食べやすいです。生食にも向いています。ゴーヤの苦味が苦手な方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
最後に「ミニゴーヤ」は手のひらサイズのゴーヤで、家庭菜園などでも親しまれており、育てたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
妊娠中にも!ゴーやの栄養と効果効能!わたの栄養は?
ゴーヤ100gあたりのカロリーは17kcal、糖質は1.3gです。ゴーヤのカロリーや糖質は他の野菜と比べても少ないので、ヘルシーな食材といます。
ゴーヤに含まれている主な栄養素は次の通りです。
- ビタミンC
- モモルデシン
- 食物繊維
- 鉄分
- カルシウム
- 葉酸
- カリウム
- チャランチン、コロコリン酸
【妊婦さんの強い味方】
ゴーヤに含まれる葉酸や鉄分は、妊婦さんに必要不可欠な栄養素です。
葉酸は、遺伝情報を持つDNAの合成にかかわり、細胞分裂に重要な役割を担っています。この作用は胎児の正常な発育に必要です。
また、葉酸が欠乏すると胎児の無脳症などの原因となる神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなりますし、胎児を育てるのにたくさんの鉄分も必要となります。
体内の余分な水分や塩分を排泄する作用のあるカリウムも多く含まれているので、妊婦さんのむくみ予防にもなります。
ただし、ゴーヤは夏の野菜ですのでカラダを冷やす作用がありますので、摂取量に注意して食べるようにしてください。
他にも以下のような様々な効果効能が期待されています。
- 夏バテ防止・食欲増進
- 美肌効果
- 貧血防止
- 骨粗しょう症予防
- 血糖値の上昇を抑える
- むくみ解消効果
それぞれの効果効能について、詳しくみてみましょう。
【夏バテ防止・食欲増進】
ゴーヤで最も注目すべき栄養素はモモルデシンです。
ゴーヤを食べると独特の苦味を感じると思いますが、あの苦味はこのモモルデシンという成分です。
モモルデシンは、20種類以上ものアミノ酸で構成されており、ゴーヤならではの特徴的な栄養成分です。
モモルデシンは、主に胃腸の粘膜を保護したり、食欲増進効果があります。また、血圧や血糖値を下げる効果や肝機能の強化、頭痛改善などの多くの効能があると言われています。
ゴーヤに含まれるビタミンCは、免疫機能に深く関わりがあり、風邪予防に大きく貢献します。
ゴーヤはまさに夏バテ防止に効く、夏に食べたい野菜ですね。
【美肌効果】
ゴーヤに含まれるビタミンCは、レモンの約3倍、トマトの約5倍も含まれています。
ビタミンCはコラーゲンの生成を促しますので、肌や骨、筋肉や血管を作るときに必ず必要なものです。
また、メラニン色素の生成を抑える効果があるので、しみやそばかすを防ぐことで、美白も期待できます。人間の身体では生成できませんから、必ず外から摂取しなければならない大事な栄養素です。
【貧血防止】
ゴーヤに含まれる鉄分は、ほうれん草の約2~2.5倍と豊富に含まれています。
ご存知の方も多いと思いますが、鉄分により貧血防止効果が期待できます。
鉄分には2種類ありヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄は動物性由来、非ヘム鉄は植物性由来となります。
ゴーヤの鉄分は非ヘム鉄なので、ビタミンCと良質なタンパク質と一緒に取ることにより体内への吸収率がぐんと高まります。
また、ゴーヤには、造血作用のあるビタミン類も多く、葉酸も含んでいますし、「ゴーヤチャンプル」のように一緒に炒める材料がタンパク質を含む豚肉や玉子ですから貧血防止には、うってつけの食材となります。
【骨粗しょう症予防】
ゴーヤに含まれるカルシウムは牛乳の14倍もあると言われています。
骨を作るのに必要な成分として知られ、骨粗しょう症予防にはうってつけの野菜です。また、カルシウムはイライラの防止にも一役買います。
【血糖値の上昇を抑える】
チャランチンとコロコリン酸はゴーヤの苦味の成分でもあり、食物インスリンなどと呼ばれることがあるほど血糖値の上昇に関わる成分です。
また、ゴーヤに含まれる食物繊維はセロリの約30倍も含まれています。腸内環境を整えますし、コレステロール値を下げる働きや便秘改善効果も期待できます。
また、ゴーヤの研究が進み癌を抑制する働きや癌細胞を消滅させる力もあることが分かってきています。
ゴーヤのわたの栄養
意外なことにゴーヤのわたの部分にも栄養があり、果肉よりも多くのビタミンCが含まれています。なんと果肉の3倍以上のビタミンCがあると言われています。
それに加えて、種には共役リノール酸という脂肪燃焼効果や体脂肪を抑える効果のある成分も含まれていますので、今ままでわたを捨ててしまっていた方は、今後は是非わたも一緒に摂取することをおすすめします。
茹でる、加熱、冷凍での栄養素への影響は?
ビタミンCは、熱に弱く加熱すると減ってしまいますが、ゴーヤーに含まれるビタミンCは、加熱しても壊れにくいという特徴があります。
ただし、壊れにくいとはいえ、ビタミンCは熱を加えすぎると壊れてしまいますので、炒めるなどの加熱調理をする際は、出来るだけ手早く調理しましょう。
苦味を取るためにゴーヤを茹でる方もいらっしゃるかと思いますが、ゴーヤを茹でると損失してしまう栄養素があります。
ゴーヤに含まれる苦味成分のモモルデシンです。モモルデシンは水溶性の栄養素のため、お湯に流れ出てしまいます。また、その他のビタミンCなどの水溶性ビタミンも一緒に流失してしまいますので、出来るだけ茹でることは避けるか、短い時間で済ませるようにしましょう。
お湯だけでなく、水につけても栄養は流れ出て減ってしまいますので、塩水で苦味を取る方法も時間をあまりかけないようにしましょう。
意外と思われるかもしれませんが、塩もみでも栄養が流失してしまいます。塩をもみこむと水分が出ますが、その水分とともにモモルデシンやビタミンCも一緒に出ていってしまいます。
ゴーヤの栄養素を余すことなく摂取するためには、茹でたり、塩もみをせずに、強火で短時間で調理することがポイントです。
ゴーヤを冷凍保存した場合ですが、多少の栄養素の減少はありますが、常温や冷蔵保存よりも、野菜の酵素の分解作用や微生物の活動を防ぐことができるので、栄養の減少を少なくすることができます。すぐに使う予定がない場合は、冷凍するようにしましょう。
ゴーヤの効果的な食べ方
ゴーヤは暑さが厳しい沖縄の伝統野菜らしく、暑さに対処するべき栄養成分が豊富です。特に多く含まれるビタミンCは、ゴーヤの料理方法にも特徴があり、無駄なく調理するゴーヤチャンプルーが有名です。
ゴーヤチャンプルーのチャンプルは、ごちゃまぜという意味があります。ゴーヤチャンプルーは、主に豚肉と木綿豆腐、玉子や玉ねぎ、にんにくなどを混ぜて炒めます。この一緒に炒める材料に秘密があります!
豚肉や玉子や豆腐に多く含まれるタンパク質、玉ねぎやにんにくに含まれるアリシンなどと合わさることの相乗効果により栄養を効率よく摂取できるので、夏の暑い時期にはお勧めで、夏バテ予防の意味でも抜群の料理です。
炒める油がゴーヤに含まれる脂溶性ビタミンのβカロテンの吸収を良くすることもプラスです。
ゴーヤの下処理や苦味取りの仕方
ゴーヤは苦味取りの下処理が必要で、中の白いわたを取ると言われていますが、実はこのわたは苦くありません。
苦味成分は緑の皮の部分に含まれており、わたを取るのは単純に「調理の邪魔になるから」なのだそう。ビタミンCも豊富ですので、できればわたも一緒に調理に使いたいですね。
簡単な下処理として、塩もみするだけで苦味は抜けます。塩水につけておく方法でも大丈夫です。塩水でさっと茹でるだけでも苦味は抜けます。茹で過ぎると、ベチャッとなり食感が悪くなり色味も落ちるので、茹で過ぎには注意してください。
苦味をもっとやわらげたい場合は、塩もみを軽くした後に砂糖も一緒に揉みこんでおくとより苦みが減ります。わたを取り塩もみして、レンジで1分ほど加熱するだけで苦味が取れます。
苦味が苦手な人は、牛乳やはちみつを入れてミキサーで混ぜてジュースにすると気にならなくなりますよ。
保存方法は、ゴーヤをすぐ使う場合は 表面を拭きポリ袋に包んで、冷蔵庫の野菜室に立てて保存してください。
すぐに使わない場合は、中の種とわたを取りラップにくるみ、冷蔵庫で保存します。冷蔵庫で保存する場合の保存期間は、2~3日です。
冷凍保存もできます。冷凍での保存期間は、約1ヶ月です。ゴーヤーを縦半分に切り、わたと種を取り除き、5mm幅くらいに切って、フリーザーバッグなどに入れて冷凍庫で保存します。
使用するときは、炒め物には冷凍のまま使います。 凍ったままミキサーにかけてジュースにして召し上がることもできます。
食感は、冷凍後はシャキシャキ感がなく、少しフニャっとします。シャキシャキした食感もゴーヤの美味しさのひとつですから、やはり鮮度の良いうちに使うことをおすすめします。
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