夏バテ対策になる食材として知られ、最近では健康効果の高いネバネバ食品の一つとして注目されている長芋は、栄養素が多く滋養強壮などの効能があることから、生薬として漢方薬にも使われるほどだそうです。
しかし、いくら健康効果があるといっても、炭水化物であるためにカロリーや糖質が気になるところですよね。
また長芋はとろろのイメージが強いので、他にどんな食べ方ができるのかピンと来ないという方も少なくないのではないでしょうか。
もし加熱によって壊れてしまう栄養素ばかりであれば、調理法にも気をつけなければいけません。
身近な食材とは言えど、意外と知らないことが多い長芋。
今回は、『長芋の栄養と効果効能』、『長芋の炭水化物量、カロリーや糖質』、『加熱調理はOK?長芋の食べ方』を解説します。
また、長芋を保つ変色しない方法や保存方法もご紹介しますので参考にしてみてください。
長芋とは
長芋とはヤマノイモ科ヤマノイモ属の根菜で、中国が原産で栽培された芋を指します。しゃきしゃきとした食感で粘り気は少なく、みずみずしいのが特徴です。
すりおろして「とろろ」にしたり、お好み焼きのつなぎとしてもよく使われているので馴染みがあるのではないでしょうか。
とろろとして使われるので「とろろ芋」と呼ばれることもありますが、長芋の他にもとろろとして用いられる品種があるので、とろろ芋=長芋というわけではないようです。
とろろ芋と呼ばれる芋の一つで、よく似ている山芋もヤマノイモ科で大きく分類すればどちらも「ヤマイモ」ということになりますが、原産地や味に違いがあります。
山芋は正式には「ヤマノイモ」と呼ばれ、山で自生している「自然薯」などを指しています。山芋は日本が原産で風味がよく、粘り気が強いという特徴があります。
ちなみに、里芋は山芋が「山で自生、もしくは栽培された芋」であるのに対して、「食べるために里で栽培された芋」という違いがあります。山芋、里芋はそれぞれ品種によって色々な形があり、見た目だけで見分けるのは少し難しいかもしれません。
長芋の旬
長芋は青森や北海道など涼しい地域で栽培されます。収穫時期は年に2回あり、春に植えて晩秋に収穫する「秋掘り」と雪解け後の春先に収穫する「春掘り」に分かれます。
秋掘りの長芋は12月~1月頃が旬で、みずみずしく皮が薄いのが特徴で、4~5月頃が旬の春掘りの長芋は熟成されたおいしさがあります。
長芋の栄養と効果効能
長芋の特徴といえばネバネバとした粘り気ですよね。あのネバネバにはどのような効果があるのでしょうか。長芋のさまざまな美容健康効果を含まれる栄養素とともに見ていきましょう。
【健康な体を維持するムチン】
長芋のネバネバ成分であるムチンは食物繊維の一種で、特に妊婦の方や妊活中の男性、女性ともに積極的に摂取したい栄養素として有名です。
たんぱく質の吸収を促進し、余分なコレステロールを排出して血液をサラサラにする効果が期待できます。動脈硬化や肥満を防止して健康な体を維持するのに必要な栄養素です。
ムチンを含む食材は他にもあります!以下の記事も是非あわせて見てみてください。
【ビタミン類】
長芋には、ビタミンB群や美容に欠かせないビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンB群は「代謝ビタミン」とも呼ばれ、糖質や脂質の分解・代謝を助けて、新陳代謝を促進する働きがあります。健康維持だけでなく美容にも効果が期待できる成分です。
【ミネラル類】
長芋には現代人が不足しがちなミネラル類である亜鉛やカリウム、鉄分など、栄養素が豊富です。
特に亜鉛は骨・皮膚・肝臓・脳・腎臓などにある成分で、たんぱく質の合成に関わる酵素の材料となります。亜鉛は体内で作り出すことができないので食事から摂取する必要があり、不足すると心身にさまざまな不調をきたすとされています。
これらの栄養素のほかにも、一緒に食べた物の消化を良くするアミラーゼ、ジアスターゼ、ウレアーゼ、オキシターゼなどの消化酵素も含まれています。
長芋の炭水化物量やカロリー、糖質
長芋の100gあたりのカロリーは65kcalで、炭水化物の量は13.9g、糖質は13gです。
芋類になので炭水化物や糖質の量は多いと思いがちですが、意外と他の芋類や炭水化物の食材と比較してどれも少ないようです。
むしろ、酵素や他の栄養素の働きがあるのでダイエットに向いている食材であるといわれています。
長芋アレルギーについて
長芋のアレルギーには二つのタイプがあります。
一つは、長芋に含まれるシュウ酸カルシウムによるものです。シュウ酸カルシウムの結晶は針状の形をしていて、皮膚の毛穴などに入って起こります。全身や体の一部が赤くなったり、かゆみやじんましんなどの症状が出ます。
もう一つは消化器官の症状で、吐き気や嘔吐、腹痛や発熱、酷いときには呼吸困難などの症状がでます。
摂取することによって症状が出る方もいれば、直接口に入れなくても、触っただけでアレルギー反応が出ることもあります。
一度アレルギーを発症した方はアナフィラキシーショックを起こす事もあります。長芋を使った加工食品は多く出回っているので、アレルギーを持っている方は十分に注意する必要があります。
赤ちゃんの離乳食には、11ヶ月~1歳頃から使ってもいいとされていますが、生のままではなく必ず加熱処理を行うようにしてください。また、アレルギーを起こす場合もあるので、最初に食べさせるときはごく少量からにしましょう。
長芋の食べ方!加熱調理はOK?
長芋はすりおろしてとろろご飯やとろろ焼きにして食べるのが一般的で最も人気です。生のまま短冊切りにしてサラダにしたり、きゅうりと和えて酢の物にするのも美味しいです。ポン酢とわさびだけでも十分美味しいですよね。
厚めに切った長芋をフライパンで焼き、バターを添えて長芋ステーキにしたり、豚肉やひき肉を挟んで揚げ物にしたりとさまざまなレシピに活用できます。長芋は煮物するとホクホク歯ごたえが感じられ、ジャガイモの替わりに味噌汁に使うこともできます。
他にも、ちょっと意外ですが、醤油や梅酢に漬けて漬物にしても美味しいそうで、ピクルスにしている方も多いようです。
しかし、長芋を加熱すると、ネバネバ成分であるムチンが損なわれてしまうため、栄養価は下がってしまいます。ムチンをしっかりと摂取できる効果的な食べ方は、やはり生で食べるのが良さそうです。
とはいえ、ムチンの他にもたくさんの栄養素が含まれているので美味しく食べられるのが一番ですね!長芋を使った気になるレシピがあったのでご紹介します!
【人気第1位!簡単長芋のとろろグラタン】
- 絹ごし豆腐150gをキッチンペーパーに包み、レンジで2分加熱する
- 長芋150gの皮をむき、ボールにすりおろす。長ネギ10cmほどを小口切りにする
- すりおろした長芋に刻んだ長ネギ、卵1個、めんつゆ大さじ1、砂糖・ごま油小さじ1/2、塩ひとつまみを加えてふわふわになるまで混ぜる
- 豆腐を一口大に切り、グラタン皿に入れる
- 上からとろろを流しいれ、好きなだけチーズとマヨネーズをかける
- オーブントースターで10~15分ほど焼き色がつくまで焼く
- 刻み海苔をトッピングしてできあがり
食べるときにしょうゆをたらすとさらに美味しくなっておすすめですよ!
長芋の保存方法
カットされていないそのままの長芋は、新聞紙に包んで風通しのよい冷暗所に置くようにすると1ヶ月以上保存することができます。ただし、気温が25度以上になる場合は冷蔵庫に入れるようにしましょう。
カットされている長芋の保存方法は、乾燥や酸化しないようにラップでピッタリと包み、冷蔵庫で保管します。保存期間は1週間~10日程度です。それまでには使い切るようにしましょう。
すりおろしてとろろ状にしたものは冷凍で保存することができます。保存袋に入れて、平たく延ばし、冷凍します。薄く広げておくことで、使うときに必要な分だけ割って使うことができます。
とろろを使うときはレンジなどを使わず自然解凍するようにすれば、風味を損なわずに食べることができます。
長芋の変色を防ぐ方法
長芋はすりおろしたまま時間が経つと黒っぽく変色してしまうことがあります。
この原因は長芋に含まれているアクの成分が酸化することによるものです。変色を防ぐには、切り口を酸化させないようにしなければいけません。
長芋は切ったらすぐに酢水につけておくようにすると、酸化を抑えて変色防止になります。
また、手に酢水をつけて調理をすると、かゆみや赤みを抑えることができるので、長芋を調理をするときは酢水を用意するのを忘れないようにしましょう。
長芋はとろろ以外にも多くの食べ方のバリエーションがあるので、毎日の食生活に取り入れていきやすそうですね!健康維持のために長芋のある生活をはじめてみてはいかがでしょうか!
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